愛注ぐカメラ。

私の使っているカメラは、マニアックなものから、トイカメラ、デジタルまであるが、一番時間を共にして来たカメラは、私を良く知る人間なら知っていると思うが、えっこれ、使ってんの???ってやつだ。

 

必ず作品を発表するとカメラ何使ってるのですか?

 

と聞かれるのだが、

まぁ、ローライフレックスやホースマンというとご満足頂けることはなかなか多く、

実際使っているので何とも言えないが、

カメラが何か!??

という気持ちが私の中であるのだ。

 

写真家というのは、一流になるために一流の設備を持たなくてはならぬのだろうか、

ライカ、ローライ、ハッセル、どれも素晴らしいと思うが、

カメラで写真が変わると思ったら大間違いで、勿論、自分のイメージに近づけるために使用して頂くならかまわないのだが。

 

以前、平間さんから、平間さんが長年撮影されている田中 泯さんから頂いたという言葉を教えて頂いた。

 

僕が平間くんに撮影してもらっているのは、君がカメラでなく君自身で撮影の出来る写真家だからなんだよ。今は、カメラに撮られてしまっている写真家がおおいからね。

 

と。

 

その通りだと思う。

 

話を戻すが、なんでこんなこと急に書き始めたかというと、序盤触れたと思うが、一番連れ添ってきたカメラが今日、急に壊れた。シャッターが切れなくなってしまった。

奇しくも被写体は富士山で、むしろ富士山を撮りにきた訳ではないのに、やってくれたなと富士山、と、かなり呪っての帰路であった。

他のカメラも数台持っていったものの、ショックがあまりにも大きく、撮る気が起きなかった。

 

この子は、私にかなり酷使されてきたためグレてしまったのかもしれない。

キノコとかクラゲとか変なストラップを見つけては付けて遊んでいたからだろうか。

灼熱の公園で長時間露光させられてグリップを溶かされたのを根に持っていたのだろうか。

極寒の海で砂にさらされ、海に付けられ風邪をぶり返したのだろうか。

 

とりあえず、私には、君がいないといけないんだ。

私の肩にぶら下げられては馬鹿にされてきた君だが、私は君を他のカメラの誰よりも深く信頼している。

それを、証明するように私の頂いた賞、購入して頂いた作品、君で撮影したものが一番なんだ。

 

私は、家に帰ってきてすぐ、君の好きであろう温度に部屋を設定して、持ってる知識を駆使してオペさせて頂いた。

病名を下すなら老化は勿論だが、脳梗塞、胆石。

早期発見で良かったですね状態であった。

 

回線がおかしくなっていたのがひとつと、江ノ島、臨海公園、湘南、茅ヶ崎等、砂がどばどば出てきた、しかもかなりお腹が痛そうなとこから、すると彼はいつも通り何事も無かったように動いてくれた。

 

一瞬買い替えを考えた私を許してくれ。

 

今君に手伝ってもらって撮りたい作品が何個かあるんだ。

私が君の右肩をポンと押したら、以心伝心だ。

 

まだまだ、愛注がしておくれ。

そして、もう中古市場でもほぼ流れていない君の仲間たちに賞賛を送ろう。

カメラと写真家は同じ夢を見たもの勝ちだ。