きまぐれなはじまり。

ずっと、薄暗い中にいた。

見えなくもないが見えるということもない。

 

私に、答えは与えられず、もがきにもがいた。

上手く泳ぎ方が分からず、得意のクロールをしすぎたのか、何をしても息が切れている日々だった。

 

光は感じなかった。

でも温かさは感じる能力は残っていた。

ホッカイロ、ストーブ、電気毛布、毎日くるまった。

けれど、私は、この世で一番温かいものに出会った。

 

ずっと、その温かさが続けばいいのに。

私はきっと、そのほんの数秒だろうか、数十秒に起きた奇跡の温かさに生かされた。

 

私に送られる沢山の言葉。

どれも、涙がでる、

けれど、私が欲しかった答えは意外にも単純で

 

生きててもいいよ

 

自分の中に潜んでいた狂気に殺されそうになって、逃げていた。

こんなにも自分が自分で手なずけられないものだろうか。

 

誰かに助けを求めていた。

 

自分が怖かったし、人が眩しくて眩しくて、障子越しじゃないと外が見えず、私にはまだ、美しい光なんて見えない。

 

ならば今ではないだろうか、最高の暗闇が見えるのは。最高の暗闇の中で写真が撮れるのは。

 

私は変人だ。

 

んなこと知っている。

私は、既に写真を撮った。

正直言って自信作だった。

その作品は、私に最高の温かさを与えてくれた人を呪った。

 

幸せにすると約束した人を見事に呪った。

 

泣いた。

 

私は、しばらく人を呪い、自分の狂気を剥き出し、あなたたちを暗闇に招く作品を撮ると決めた。

 

将来、もし私が有名になったら暗黒の時代とでも教科書に載せてくれ。

 

でも、私は、多分、あなたたちと同じ人間。

 

だって、あの笑顔をすぐに思い出せるから。

 

いつ立ち止まるかわからないけど。きまぐれな私だから。どうぞ、振り回されて、私の呪いにかかって下さい。

 

櫻井始動します。